内省バイク1 〜私より速い私〜

仮面ライダー(初代)を目指して】

 いきなりですけど、あまりに何もわかってないままバイクの教習に通い始めて、2週間ほど経つぜ。

 いつからか、なんとなく仮面ライダー的な、前傾気味にまたがる姿で走りたくなっていた。・・・私の世代にとっての仮面ライダーとは、初代のことです・・・。私の赤ちゃんの時の写真は、白黒です。2、3歳頃からが、色褪せたカラー写真です・・・。

 

 そんな世代のわたくし、バイクの大きさの種類もわからず、車体の引き起こし段階からスッタモンダあって、落ち着いたのは、小型のマニュアル車

 運動音痴、スピード出すのこわい。たとえば仲間とのツーリングに憧れてるとかいうわけでもなんでもない。ついでに、ひどい方向音痴。

 ひとりでどこに行きたいのか? でもなんか、乗りたい。

 今までの自分とここまで違うことをやり始めると、一瞬一瞬が発見。あるいは確認。「へえ〜」と感じるコトは尽きない。したがって、メモしておくことにしましたの。バイクのことも。バイクでないことも。

 

 すべての、自分を決めつけてしまいがちなヒトに捧ぐ。自分の内側に目を向けていこうぜ。立ちはだかる壁は爪でカリカリほじくって、穴開けていこうぜ。ゴーゴーレッツゴー仮面ライダー。ライダー、ライダー。

 

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【スピードとエンジン音】

 私にとって、自分の足より速い速度は、すべて速すぎる。

 

 

ある日の教習を待つわたくし

 

 車の免許は大昔にマニュアルで取ってはいたけれど、街なかに住む習性のある私は、生まれてこれまで半世紀以上、出勤も遊びも、出かけるならバス電車。当然、ふだんは全く運転しないから筋金入りのゴールドなペーパー。

 私には、歩く速度で見える景色がデフォルトで、私のいる世界というのはつまり、静かで、実感としてはほぼ動かないものなのだった。車のある生活が当たり前の人にはわかりづらいかもしれないけれど、自分の周りの世界が急に速く流れていくと、なかなか判断がついていかない。

 

 それを、なぜだか私はバイクという、スピードが出ないと安定しない変な乗り物に乗ろうとし始めた。しかもスピードを保つためには、エンジンをブルブルいわせてないといけない。なるほど、言われてみればたしかにそうだ。

 ブンブンブルブルいう慣れない音の大きさに負けて、私ってそもそも必要な分のアクセルを回そうとしてないらしい。アクセルって「回す」っていうのか? 「開く」か? わからん。とにかく、エンジンの回転が根本的に足りていないんだな。

 そりゃあ、理屈からして、スピード出ない。ふらつく。倒れる。たまにスピード出たら、わぁぁぁ・・・!ってなってハンドルにしがみついたまま、つまり必要ないアクセルを急に大回ししてエンジンがぶるるるルルっルン!と騒ぎ始めたまま、コケる。とても危ないコケ方らしい。乗り手を離れたバイクだけで暴走しかねないから。

 一度、実際にアクセルを握ったままぶるるるん!ってコケたことがある。倒れ始めたバイクに先生が追いついてクラッチレバーを握ってくれたから暴走も無く、その場にガチャンと倒れただけで済んだらしい。わかってなかったけど。ありがとござます。

 そんないろんなことをしてるうち、つまり私は、スピードと、エンジン音・・・その両方が苦手なんだとわかってきた。考えたら、それが、バイクだろう。困った。

 しかし。私はなぜか、楽しんでいる。先生たちに呆れられながらもねー。

 

 初回、今思えば指導員の先生が後ろで支えてくれていた状態だったということかな、もうそんなこと覚えてもいないけれど、とにかく私のまたがったバイクちゃんは、ゆるゆると動きだした。

 

 

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