アニマルコミュニケーション 23(しっぽの件、つながる日常)
【尻尾が、死後硬直をしない件】
ホメオパスの方にもおらくザウルスの写真を見せて、尻尾が死後硬直しない話になって盛り上がり、その場でいろいろ調べてくださったりしたけれど、まぁ、今のところ猫の尻尾が固くならない説明の論文とかには辿り着いていない。
<ご好評につき、別角度からの、ちょっと尻尾の先っちょの形を変えたやつを>
・死後硬直というのは、ATP(アデノシン三リン酸:利用効率の良いエネルギーの素みたいな物質)が消費されるばかりで生産されなくなることで起きるらしい。
・筋肉には、白筋(瞬発力)と赤筋(持続力)があって、白筋が、乳酸やATPを生産する方。それを赤筋の方に送っているらしい。白筋は短距離走で使う筋肉なので無酸素的に、赤筋は長距離走の時の感じで、有酸素的に動くのね。
一般的なこととして知られているこの2点から推測するしかない。何かとにかく、猫の尻尾がこのどちらかの筋肉メインで構成されているからという推測ができそうな。
この推測の方向で合っているとすると、白筋がよく鍛えられている短距離選手と赤筋が鍛えられて発達している長距離選手とでは、死後硬直の程度が違ってくる可能性が高いのでしょうかね。
白身代表ヒラメと赤身代表マグロを朝釣りして並べたぐらいでは、まだ比較の条件としては甘いので、比較観察しようとしたらどうしても、身体的条件の近い、イキのいい短距離選手と長距離選手を連れてきて、同時に○んでもらうしかなくなるわね。これを読んでくれぐれも猫の生体解剖とかはしないでください。
死後硬直しない猫の尻尾の不思議のせいで、尻尾を触りまくられている猫もいるようです↓
【日常生活にならしていく感じ】
酸素ケースを返しに行く日も、ふるむは空の何かを見ていた。
私には見えないものが、ふるむには見えている。私には何も見えない空を、ふるむはこの日も真剣に見ていた。ほんとにこのひとは、何かを見ている。
酸素を濃縮してくれるこの機械からは、ずっとブーンという低い動作音と、プシュッという空気圧の音とが切間なく出ていて、特に低音は下の階に響くのではないかと気になって、機械の下にはけっこういろんな物を敷いていた。
できるだけ音を遮断するため、「空気」が機械と床との間に入るように意識していたつもりではある。緩衝材や、段ボール紙や。でもけっこうな重さもあるし、バランスを崩さない範囲でのことだから、どうだったのやら。
下の階のかた、なんとなく感じていらしたとしたら、ほんとにごめんなさい。文句言わずにいていただけて、ありがたいことでした。
ケースの方は、ふるむチェックも終わったので、
天板、底板、側面、扉、窓の開閉用の仕切り、とネジで組み立てていたのを、全部分解して緩衝材に包んだ。酸素濃縮器の方は、下にキャスターが付いているので、重いけれど押して運べる。
こういう命綱を返却するということは、ほぼ、”そういうこと” だし、受け取る側は言葉少なに、抑えた表情で、とてもシンプルに短時間で終えてくれた。内容を確認しますので、ハイ、もうけっこうです、と。そんな、ぐるぐる巻きの緩衝材を外から眺めただけでいいんですか、ネジの数とかだいじょぶですか、と言いたくなるぐらい早かった。同じ時に同じように返却しに来ている方がもう一人いらして、なんとなく切なかった。
地下鉄3駅分ぐらいか、もっとありそうな距離の味気ない道を、ぶらぶら歩いて帰った。何度かタクシーで通ったその道の景色を、虚しかった記憶で切り取ることにならないように、ふだんの自分の生活圏までつなげて、なんちゃない記憶にならしていく感じで、歩いた。
途中のスーパーにただぶらっと寄ってみたら、隅の方に苗があって、いくつか買った。何か次につながるイノチを見つけた感じで、育て方はヘタだけれど、うちのベランダの一員になって馴染んでくれたらうれしい。これもずっと未来に続いて記憶をならしていく感じだ。
その後、車道沿いの銀杏並木の根元のギンナンを、ビニル袋に拾いながら歩いた。イノチの恵みを、いただきます。秋晴れの空には、日常の電線と、おらくザウルスの背骨の雲。
【つながるベランダ】
ベランダでも、イノチはまだまだ実り続けております。オクラもピーマンも、夏の名残りを永遠に残そうとしているかのように、今もなお鮮やかに色づいて。秋深い中、ありがとう。
おらくが棺の中にも持って行った花を、Oraksa (オラクサ)と名付けた。シーボルトが、愛するおたくさんの名にちなんで紫陽花を ”オタクサ” と名付けたみたいに。オラクサのご本名は、実はゴージャス・・・「千日紅・ラスベガスパープル」(笑)。
のどかな昼下がり、蝶々になったおらくが来ていて、ずーっとオラクサのところにいる。ほんとにこのベランダに、私に、慣れているかのように。
「羽を広げて見せて〜」と言ったら、粋なシジミチョウ姐さんは、江戸小紋の袖のような渋い色の羽をゆっっっくりと広げて、
鮮やかな色合いをたっぷり見せてくれた。こんな鮮やかだったの、シジミチョウって。
すごく美しい、おらくの光の国の空の色。
【死を通してしか伝えられないもの】
アニマルコミュニケーターのみちよさんにも、おらくが光に戻りましたとお礼を伝えていたら、ご丁寧なご返事をいただいた。みちよさんがその道に入られるきっかけとなった猫ちゃんが、
「『死』ということを通してしか、伝えられないことがある。
と伝えてくれたのだそうだ。何度読み返しても涙が出る言葉です。おらくが私に伝えてくれたことの中には、私がまだわかっていないこと、この先、時間をかけて気づいていくことも、きっとたくさん含まれているのだと思う。
みちよさんとは何度かメールのやりとりをしたけれど、これまでは『死』という言葉を避けてくださっていたからこそ、今やっと私も聞かせてもらえた話なのだと実感する。
そんなふうに、実はいろいろと避けていただいている気遣いというのは、少なくないのだろうけれど、避けてもらっているが故にその時すぐには感じ取りづらいものでもある。
酸素ケースの返却の時の対応にしても、同じことだ。私の話す人たちも、別れた相手の話題を出さないようにしていらっしゃるのが感じられたり、猫ちゃんの具合はいかがと尋ねるのをやめておこうとする話の進め方がわかったり、本当に、おらくのことに限らずだけれど、日々の生活で関わるすべてのみなさまのお心、ありがたいことです。
おらくちゃんに、といろんな方からお線香や手拭い(猫がサンマにそそられるセットで)や、お花までいただいて。ありがとうございます。おらくはホントに、いろんな方々にご心配いただいた幸せネコでした。
<いただいたお花を飾っていたら、どやつが逝ったのかわからなくなってきた>
【季節が移った日常】
ブログを書くためにおらくのことを考えているとスネだしたふるむは、「気」を読む名人だけあって、なだめてもすかしても、ブログを書き続けている限り決して機嫌を直さなかった。
暗い部屋に行ってしまっているのを抱いて戻ってきても、アオ、アオ、と鳴きながら離れて行ってしまう。また連れ戻って話しかけても、少し離れたところに座ってじーっとこっちを眺めている。
そして私が自分のお茶でも淹れようとした瞬間、まるで「ハイだめー、今ワシのこと考えてなかった〜、失格〜。」みたいなそぶりで、素早く立ち上がって、ぷいっ、といちばん遠くへ行ってしまう。もう、「ふん!」と声が聞こえそうな態度で。
夜中じゅう、かなり何度も繰り返した。連れ戻っても離れていくし、呼んでも来ない。ただ、そっちを見ると、暗いところで目だけ光ってこっちを見てはいる。もう、やれやれ、とブログをやめてノートを開いて、自分の行動だけを遡る日記を書き始めたら、あっさり、少し距離を詰めてきた。そんなに、私の頭の中で、おらくのことを考えているかどうかまでわかってるってことなのか。名人、おそるべし。達人。師範。
夜も明けて、まだ近くに来ないふるむの方を向いたまま寝転がって仮眠をとることにした。
ちょうどおらくの魂が肉体を脱いだ頃、刻を知らせる近くの神社の太鼓がどどーん、と鳴っていたはずで、その時刻は、季節ごとに30分ずつ移ってゆく。おらくの太鼓は、6時だった。ひと月しか経っていないが、今は6時半だ。
季節が変わったねえ、と遠いふるむに言いながら目を瞑っていたら、ゴロゴロと喉を鳴らしているのが聞こえた。うとうとし始めた頃、毛布に触れてきた。
そんなこんなで、完全にスネきったふるむの機嫌はひとまず丸一晩かけて直った。しかし今度は、毛布に触れてきたところから針は逆方向に振れ、甘えになだれ込む。
やがて毛布の上から太ももの間にこちら向きに乗って、すっぽり体を嵌め込むと、大きくゴロゴロ言い続けながら母親のおっぱいを飲む時の子猫の "両手でもみもみ運動" が始まって、位置的に、頼んでもいない恥骨マッサージを受けることとなり、結局なかなか眠れない朝だった。
その日以降、ちょっとでも意識がそれると不満のア〜オ・・・が始まる。私はハイハイと素直に奴隷となって、厳しい師匠の下、「気」を向ける集中力を養う訓練に勤しむ日々が続いている。
<ちゃんと見とるか?ワシのこと:師匠の、抜き打ちテストの構え>
おらくがヨーグルトにまみれて残した足跡は、拭き取らないことにした。
いつか自然に消えるでしょう。
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