【夢note】大濠公園のハウステンボス

 大濠公園の、お濠を背にしたぐらいの場所に、大きな2階建(?3階建だった気もする)の、木造っぽく見せて焦げ茶色のペンキでベタベタ塗った板を貼り付けたような感じの、新しい企画モノっぽいホテルのような、不思議な総合施設が建った。

 安っぽいオランダ村みたいな景観になっている。正面の外に立って見上げたら、各窓から、オープニングの体験サービス的な募集に応じた人たちとかスタッフの女性たちとかが、一つの窓から一人ずつ、観音開きの戸を開けて外に向けて立っている。三角屋根に、向かって右側にもう半分、屋根がギザ、とくっついたような、1.5個分の屋根幅分の建物。

 

 なんとなく中に入って見たら、すごく綺麗で広い。内部を親切に説明してくれる男性。私もちょっとそれに合わせて、興味を示しながらほう、ほう、と聞いている。

 トイレに行こうとしたら、間口は狭いけれど、上から這わせる植物なんかで飾られた白い入り口の表示が、男女の別かと思ったけれどなんとなく意味が合わない。

 あれれ、と、どちらに入ったらよいのか迷った瞬間、はじめ女性用かと思った方から男性(青い上下、上は半袖の、お医者さんの姿。ここには病院も入っている)が出て来て、また、あれれ?となったら

「こっちは男性単数用、隣は男性複数用ですよ」

と教えてくれた。文法みたいな区別になっているのだった。

 よく見ると、そのもうひとつ隣に表示のない入り口があって、そっちが女性用だった。そこから入ると、また広く明るい総合的なスペースが広がっていて、ただのデパートのフロア並みに、かわいい雑貨があったり、家族連れの人たちがうろうろ歩いていたり壁に作り付けのベンチに腰掛けていたりして、トイレ自体はその広い空間をたっぷり楽しんだ後にたどり着ける端っこにある。

 文法トイレに、デパートトイレ。トイレの概念ぶっこわしトイレだった。

 

 雑貨もふつうに楽しいものだったけれど、そこの施設の中ではいちばん一般向けという感じの普通の場所で、また違う場所には何か作っている工房というか、もう工場ぐらいのしっかりした規模の設備も入っている。なんとなく入った施設だったわりには、かなり私好みで、いろいろ興味津々で見学している。

 工場みたいなところとはいっても、すぐ近くに喫茶すぺーすのような一般の人たちがくつろぐところもあるし、窓からは夜景が見えているし、やはり娯楽施設としての性質が基本。

 作業用のブースとして背の低い仕切りで分かれていて、皆それぞれ違うことをやっている。私が立っているブースの左隣には人が何人も固まっていて、何かの演歌歌手みたいな女性の、衣装だったか、宣伝ポスターだったか、そういうものも目に入った。何かそれに関連したことを集まってやっている感じ。

 右側には、30代ぐらいの男の人が黙々と作業をしている。ウルフルズのジョンビーチョッパーみたいな顔の静かな感じの人。キーンと丸い刃が機械で回っている正面で椅子に座って、割れやすい分厚い陶器を切断している。すごい埃。

 その陶器は現代には無い技術でできていて、手で簡単におせんべいのようにぱきっと割ることができる。私は以前にその陶器のことを聞いたことがあったけれど、なんかどういう性質だったか思い出せない、とか言っていて、おせんべいみたいにほら、と5センチ×8センチぐらいの形にぱきっ、と割って見せてくれたのを見て、そーだった!それそれ!と騒いで喜んでいる。

 私の真ん前のブースには誰もいないけれど、A2ぐらいのサイズかな、大きめのパシャパシャいう紙が何枚も何枚も重ねて置いてあって、見てみると、いろんな設計図やなにか楽しい人形みたいなもののしくみの解説になっていて、私はそれらを見て楽しんだ。

 やがてそれは友人のりえこのブースだったとわかって、私が来るときにはりえこは席を外しているから、私が見て楽しむために置いといてくれたのだと、後で説明してくれた。説明しているときのりえこは、とてもきれいな丸顔で、やさしい表情だった。

 右隣の黙々と作業をしていた男性に、説明してくれるように頼んどいたのに、とりえこは言ったが、その人はその時ちらっとこっちを見てすこしニコっとしただけで、また作業を続けた。こちらから声をかけて尋ねればよかったのだね、とは言ったけれど、もうひとりで設計図を見るだけでじゅうぶん楽しんだから、その日はそれで帰ることにした。

 あれは大濠公園なのだった。不思議な楽しい施設だった。